人気ブログランキング | 話題のタグを見る

第997話 すべてがうらめしいとき

いま、このばしょ。

くたびれたおとこはそらをみあげ、
「いっそすべてがなくなればいい」
とねがう。
いきるいみ、いきるかち、もはやおとこにはみいだせない。

「おいで、おいで・・・」
せんろからよびごえがきこえる。
ふらふらとちかづき、そのまましたへおりようとする。

・・・おとこがわれにかえったのはでんしゃのけいてきのせい。
あとすこしでらくになれたかもしれなかったのに。。。

おとこはあるく。
うえをむいてなんてあるけない。
なみだはこぼれないけど、したをむいてあるいていたら
なんだかだいじなものがどんどんおちていってるきがした。

どんなときでもおなかはへるもんだ。
こんびにへむけ、えきからのみちをとぼとぼあるくおとこ。
さきにみえるしんごうはあかだ。

・・・またきこえる。
どうろのはんたいがわからだ。
「・・・おいで、おいで」
あぁ、きみたちはさびしいんだね。
でも、ざんねんながらなかまにはなれないよ。
ぼくのようなさいていなやつがなかまになったってなんにもたのしくないよ。
むしろめいわくをかける。
やめておいたほうがいい。。。

おとこはひとりになりたかった。
だれもいない、だれにもじゃまされず、だれもおとこをきずつけないせかいにいきたかった。
なので、そのさびしがりやたちのきたいにこたえることはできなかった。

「あしたすべてがなくなればいい」
すべてがなくなってしまえばおとこののぞむやすらぎはおとずれるのだろうか?

それはそうなってみないとわからない。
ただ、もしねがいがかなったなら、もうやりなおしができないのはたしか。
それでもねがう。
「あしたすべてがなくなればいい」

・・・いや、むしろおとこがなくなればいいのか。。。
by mkom00 | 2010-07-06 22:28 | 第991~1000話
<< 第998話 げんじょうをもの... 第996話 きみのそばに >>