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第11話 喰い殺される

外では犬が吠えています。犬は嫌いです。大小にかかわらず。

つい7年前の話です。紅葉も終わった冬の信州のとある湖のほとり。
ここが今回の惨劇の舞台です。
例によって友人A、Bと共にを旅行しておりました。寂れた
湖畔の土産物屋には客がおらず、というか店すら開いてませんでした。
夏は賑わうであろう駐車場は車がほとんど停まっておらず、もの悲しさ
更に倍!といった感じです。
店が開いてないので、する事と言えば散歩しかありません。
湖畔の道を歩く事数分。ようやく自分達以外の生物に
遭遇しました。
中型犬 ですね。
繋がれておらず、首輪無し。野良ですね。
見た目、かなり大人しそう。ここはいっちょ野生動物との
ハートウォーミングなふれあいを・・・。
と、手を伸ばすといきなり
 「ウゥワワンッ!!ワンッ!!!」
これに驚いた私、一瞬身を引き、体を180゜反転。
ターボブースト使用、アフターバーナー全開、ダーッシュッッ!!!
今思えばここで逃げなければ良かったのかも。
相手を睨みつけていれば多分追っては来なかったでしょう。
後に友人A、Bは口を揃えて語ります。
 「あの時の足の速さといったら、ワールドクラスだったね」
そう、無我夢中で走るうち、戦力となるべき友人A,Bを
ぐんぐん引き離し孤立無援状態に。
・・・400m程ダッシュを続け、スタミナも切れ、もうダメか?
喰われるのか?と思ったとき、思わぬところから援軍が!
 「ワワンッ!!ワンワンッ!!!」
背後からです。敵が増えた!と思ったのですが背後の
犬は民家の飼い犬で私の事は目に入っていないようです。
野良、飼い犬は睨み合いを続けています。
(今がちゃーんす!!)
こっそり両犬の視界から外れ、そのままダッシュッ!!
冬なのに汗だくになって無事に車に帰り着くと
友人A,Bが
「おかえり」
と事も無げに迎えてくれました。
何もする気力も起きず、そのまま宿に行って泥のように
眠った記憶と次の日の筋肉痛は今でもよく覚えています。

3年後に再び同じ場所を訪れる事になりますが、
そのときには既に民家はなくなっており、命を救って
くれた(であろう)飼い犬の消息は不明となりました。

犬は嫌いです。噛むから。吠えるから。追ってくるから。
噛まなくて、吠えなくて、追ってこないなら好きになれるかも。
それは犬じゃないか。
 
by mkom00 | 2004-02-09 16:37 | 第1~100話
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